製本所の社長

先日、毎年1回3月末に刊行する本の束見本を持って、社長が来た。
久しぶりだった。
最近は、その製本所ではない別の製本所を多く使っているので、あんまり会いたくない気分であるが、
そこは、お互い商売なので、喜喜として、久闊を叙す。

社長と私は同じ年で、以前はときどき遊んだが、今は、お互い体力がなくなったのであまり遊ばないので、久しぶりだ。製本所もご多分に漏れず仕事が少なくなっていると思って

「どう、最近?」
「あまり、変わらないね」
「職人さんとかの人数は?」
「ほら、ウチの娘も大学卒業したから、仕事を手伝うようになってね。外回りは長男なんで、俺が中で一番働いているし……」
「そうなの? なんか別の仕事を始めるとかいっていたのに」
「まぁ、それもそれなりに順調だけど……」
「じゃぁ、人数はあまりかわらない?」
「いま、ベトナム人が二人来ているよ」
「それは、合法的に?」
「うん、3年間の研修と言うことでね。よく働くよ。子供をおいて働きに来ている28歳のお母さんとか」

話を聞くと、直ぐに止めてしまう日本の若者よりいいようだ。
給料もそれほど安くはないらしい。
日本の本は、前からそうだったけど、外国人労働者に支えられていることが多い。
3Kという言葉がはやりだした頃から、どこの製本所でも外国人が2〜4人ばかり働いているということだった。

最近は、製本所に足を運ぶ機会を作らなくなったが、久しぶりに、出掛けてみるかなぁ、今度。