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本を貰う

献本を頂いた。
仕事柄、たまに頂くことがある。
本日頂いたのは、
『日本の伝統芸能講座 舞踊 演劇』(淡交社、平成21年2月刊)
という本。

日本の伝統芸能講座 舞踊・演劇

日本の伝統芸能講座 舞踊・演劇

直接いただいたのは、国立劇場独立行政法人日本芸術文化振興会)の山川氏から。
以前から、この本に掲載する古典籍の図版の掲載許可申請の方法などをアドバイスしたことがあるので、いただけたのであろう。

先年急逝なさった服部幸雄先生監修となっている。

余談だが、同じく服部先生監修の

仮名手本忠臣蔵を読む (歴史と古典)

仮名手本忠臣蔵を読む (歴史と古典)

も、先日読んだ。
服部先生は、企画力があったんだなぁ、とつくづく思う。

世間がどう思うか、覚えているかどうかも別だが、服部先生の一番大きな企画は、『近代歌舞伎年表』に間違いない。これは、年に1回3月末に、国立劇場編(八木書店刊)で発行されている。大阪篇・京都篇の刊行が終わって現在名古屋篇を刊行している。日本全国の劇場の興行を網羅するという大々的な企画で、企画当初は全部出すのに60年はかかるだろうという話だった。しかし、大阪篇から名古屋篇の第3巻までに20年数年かかっているから、東京篇が出るのは、いつなのだろう。当初の企画は日本全国津々浦々の興行年表を完成させるには、60年はかかるだろうということを、服部先生は、『近代歌舞伎年表』を開始する前に、確か日経新聞に書かれていたことがある。
[rakuten:book:11263942:detail]
[rakuten:book:12038567:detail]
大阪篇は、現在品切れらしい(八木書店のHPより、URLは下記)。
http://www.books-yagi.co.jp/pub/index.htm

なんか、宣伝ばかりみたいで恐縮だが、勘弁して下さい。

この本(『日本の伝統芸能講座 舞踊 演劇』)の内容は、まだほとんど読んでいないのだが、目次を見ればすごいことが分かる。

第8章 歌舞伎の成立と発展1―3つの俗説を検証する(和田修先生)
第9章 歌舞伎の成立と発展2(黒石陽子先生)
第10章 歌舞伎の表現(渡辺保先生)
第11章 人形芝居の流れ―竹本座成立にいたるまで(山田和人先生)
第15章 大衆芸能の流れ―寄席芸・大道芸(今岡謙太郎先生)
第17章 歌舞伎―近代から現代へ(神山彰先生)

など、自分の興味の点からも読んでみたいと思う章題である。

それと、
第18章 舞踊―近代から現代へ(古井戸秀夫先生)があり、
私が着目している「藤蔭静枝」の記述があると目次に記載されていて、読むのが楽しみである。

その理由の一つには、先年奥武蔵の山に登るために、早朝に乗車した西武池袋線で、私の隣に座った元気のいい老婦人が、聴きもしないのにいろいろ話しかけて来たことがあった。
その婦人は、板橋区に高齢者大学院というのがあるらしく、そこで行われる各種講座をあらかた受講しているということだった。昔は苦労したけど、苦労が実り今は楽隠居の身分になれた。それで勉強している。昔したかったけどできなかったことを、今、楽しんですることができる。そして、そこいらの大学生よりよっぽど教養があるのだ、教えてくれた顔がすごく、生き生きしていて、忘れられない。
そんな彼女の一番のお気に入りが、新舞踊と呼ばれる、藤蔭流だというので驚いた経験がある。
ちなみに、その老婦人は「あたし、ばっかりが、いい思いしちゃ、死んだとうちゃんに申し訳ないから、祥月命日には、墓参りし秩父の奥まで行くことにしている」のだそうだ。

さて、余談が過ぎたが、その藤蔭静枝は、永井荷風の妻だった人で、確か「つゆのあとさき」かその辺の小説にでてくるのではなかったか。
徳田秋声ともおそらく関係があったと私が勝手に類推している婦人である。その理由はまだ確証がない。
それはともかく、秋声が再婚しようとまで考えた山田順子の娘を内弟子にしてもらった踊りの師匠である、という事実がある。
その後に、勝本清一郎と関係を持つのではなかったか? 勝本は山田順子との関係も知られているが……。

『歌舞伎―研究と批評』(歌舞伎学会紀要:雄山閣発行)に、藤蔭静枝の貴重な交流関係に触れた論文が掲載されたりしているそうで、それも読んでみたいと思っているところだった。
そんな関係もあり、早く読んでみたい、と思わせてくれる本である。

ところで、初老と呼ばれておかしくない年齢になったため、こういった悪女というか、強力なパワーがある女性に惹かれるようになったのだろうか?

私も、編集者なんだから、こんな本を担当してみたいな。
だって、この本頁単価7円20銭ぐらいで、販売されているのだから、この手の本としては、破格の定価といえるだろう。
売れてくれればいいのだが……、売れればいいですね。

今日は、本を貰って気分がいい。給料日でもあったし。