捨て仮名

捨て仮名(すてがな)は、日本語の表記において、「あ」に対する「ぁ」のように小字で表される仮名を指す、元来は印刷用語である。

と、ウキペディアに出ていた。何故調べたかというと、日本近代文学館報2016年3月15日号の6頁三段目に吉本隆明共同幻想論」の原稿の写真が掲載されており、そこに「略字・新カナ・捨カナ使用」 と印が押されているのを見たのがきっかけだ。

以前にもこの「捨カナ」というのを見たことがあるが、そのときは、調べてみる気持ちが起こらなかった。気持ちに余裕がなかったのかも知れない。

略字・新カナ・捨カナ使用」というのは、原稿にどのような文字が記されていても、現代通行の形で組みなさいってことだ、ということが分かった。

つまり、原稿通りに、文字を再現することではなく、書かれた内容を、多くの人に読みやすく提供するということを、出版社が選んだということなのだ。

この写真に見える掲載紙は、「文芸」三月号とある。

―と-とー

私が扱う原稿は、人文学の研究論文が主だ。
最近の研究論文には、サブタイトルが着くことが多い。
そして、そのサブタイトルの頭には、―が着くことが多い。
場合によっては――と二つつける人もいる。普通昔からこれは2倍のダーシと呼ばれているで、二つでも構わない。
ただ、このダーシは、ワープロからだとすんなり出てこない。
だから、マイナスを入力してくる人もいる。年輩の執筆者だと、ーを入力してくる人もいる。
 
世の中の編集者には、原稿を読まないで、本を作る輩もいるらしいから、そういう編集者に当たったり、私のように校正が「ワク」かつ、老眼で余り欲目が見えない老骨だと、そのまま世間に出てしまいますので、なんとかしたほうが、いいかと思います。
 
具体的には、この文章のタイトルの1番目を「ダーシ」と2番目を「マイナス」と単語登録して貰うのが一番です。
2番目を縦組にすると、横向きのままで困るからと三番目の「音引き」を入力する方もいる。
 
以上、それでも分からないようなら、ご連絡いただければ、有料で教えます。

あれ、原稿用紙って?!

いつものように、NHKの朝の連ドラを見ていたら、原稿用紙が出て来た。

それは、日本女子大の創設者が、あさに自分の考えを示すために、読んで欲しいと手渡すためであった。

 

ちょっと、古びた感じの原稿用紙であったが、見ると二十字×二十行、四百字詰めの原稿用だった。

この時の時代設定は、たぶん明治の三十年代後半だと推測される。この時代に、この見るからにコクヨの原稿用紙的な原稿用紙があるはずがない。ちょっと、興ざめ。

原稿用紙は、活字組版を効率化するために考案された文房具であるので、新聞雑誌の字詰めに合わせて作られ始められ、やがて一般に普及して学校での作文に使われるようになった。

詳しいことは、『近代文学草稿・原稿研究事典』の「枡目の近代―「原稿用紙をめぐって」― 宗像和重」を参考にして欲しい。

 

ありがとう

よく分からないけど、読んでくれている方がいるんだ。

有り難い。

 

あまり文句は書きたくないけど、書きたくなっちゃうこともあります。むしろそういった方が多いかな。

 

でも、それをなるべく控えて、世の中の役には立たないかも知れないけど、ちょっとした時間つぶしのネタになるように心がけようと思います。

 

どうぞ、よろしく。読者さま。

ちょっと不満

人文学術研究者は、学術論文を執筆して、それを公開しなければならない、と私は思う。そして、現にそういう人たちの原稿が私の所に集まってくる。

私が学生時代には、卒論執筆の為の指導の時間として原稿用紙の書き方を教える時間があった。もちろん、今はそんなものはないだろう。なくてもよい。

しかし、その分、ワープロでの原稿の作り方を、覚えていただきたい。

そして、ワープロが発達したために、みんながみんな、勝手な訂正記号を生み出して、混乱してしまう。

 

出版学会の理事の一人の校正(赤字訂正の指示)に、清音を濁音に替える際、濁音の点々を、赤字で加えてきた執筆者がいた。あきれて物が言えない。